最上のくらし舎のきっかけになった「空き家プロジェクト」。2017年5月のスタートから、豊かな地域資源(人・場所・出来事)がつながってきた記録を紹介します。空き家活用やまちづくり、地域での活動に興味がある方の参考になれば幸いです。
発起人は、建物やまちの再生を専門にする設計事務所の加藤と、当時地域おこし協力隊として新しい場づくりを行っていた吉野。「空き家の活用に興味がある人」を呼びかけたところ、約40名が集まり、空き家の所有者や活用希望者、活動をサポートしたい人などが意見を交わしました。
参加者とまちを歩きながら、理想のまちの将来像をイメージ。空き家だけではなく、空き地と一体的に活用する案も出ました。その中で、参加者が所有する空き家を見学したところ、たくさんのアイディアが生まれ、所有者のご厚意で実際に活用してみることになりました。
まずはお金を掛けずに、地域のお祭りで休憩所として開放することを目指し、ご近所の方や有志メンバーの協力を得ながら、荷物の片付けや大掃除を実施。空き家になる前に仕立屋として使われていた記憶や、倉庫に眠っていたお祭りの道具を展示し、再生の日を彩りました。
小上りを休憩所として開放し、かき氷やビールを提供。初めて訪れる地域の方から、昔を懐かしむ遠方の方にまで来ていただき、常設を希望する声もありました。期待に応えるべくプロジェクトを法人化して、しっかり事業として進めることになりました。
法人化を進める中で、空き家プロジェクトに参加していた新庄信用金庫さんからお声がけいただき、事業パートナーとして日本財団の「わがまち基金」に応募することになり、採択が決定。空き家を改修する初動の目処がつき、設計と並行して傷んだ部分の解体がスタートしました。
地域の方々と力を会わせ、自分たちの手で空き家を再生。地元の多様な職人さん(大工、塗装、電気、設備、板金、建具、現場監督など)、メンバーのお子さんやSNSで集まってくれたシルバー世代の方まで、みなさんの個性が現れた空間に。材料もできるだけ解体した古材を活用しました。
まだまだ未完成の部分ありましたが「みんなで使いながら作っていく場所」として運営開始。貸し事務所の入居者は、空き家プロジェクトの参加者に決定しました。空き家の活用が人と人をつなぎ、みんなが集まることで空間も育っていく、そんなプロセスが続いていく場所になればいいなと考えています。